ホーム > 書籍情報 > 歴史ポケット新聞 > ポケスポ立ち読み > 【相撲】双葉山 70連勝ならず[昭和14年]
昭和14年1月15日 |
前3 安芸ノ海(外掛け)双葉山 横綱
◎14年1月場所4日目(15日)◎両国国技館
【東京本社】横綱双葉山が前3・安芸ノ海の外掛けに敗れ、連勝が69で途切れる大波乱。双葉3年ぶりの黒星に館内大興奮となった
昭和14年1月15日午後6時32分。69連勝中の横綱双葉山の右足に安芸ノ海の左足が絡むと、足掛け4年にわたって負け知らずの横綱は左腰から崩れ、次の瞬間には背中にベッタリと砂がついた。館内は一瞬の静寂ののち、大鉄傘を揺るがすほどの轟音が鳴り響き、観客は大興奮。土俵には座布団、煙草ぼん、ありとあらゆるものが、雨が降りしきるがごとく投げ込まれた。
初顔の一番は、安芸ノ海が立ち合いから猛然と突っ張り、双葉山も右をのぞかせ捕まえたが、安芸ノ海は右差しで頭をつけ、左も上手を取って食い下がる絶好の体勢。苦しくなった双葉山が右からすくった瞬間、安芸ノ海は左外掛けを放った。双葉山は崩れながらなお、右下手投げで応戦したが、体はすでになかった。
打ち出し後、国技館周辺は騒然となり、群集の大洪水となった。大殊勲の安芸ノ海はわずか200m先の出羽海部屋までもたどり着けないほどで、双葉山敗戦の重大さを物語っていた。
◆連勝記録…1位双葉山、2位谷風63、3位梅ヶ谷(明治前期)58、4位太刀山56、5位太刀山43 ※引き分け、預かり、休み含む(昭和14年現在)